北海道支部では平成21年度事業、"4月4日はピアノ調律の日" 記念コンサートを、4月12日 (日曜日) 、札幌サンプラザホール(客席数512)にて開催しました。
平成12年4月4日から始めたよんよんコンサートは「ピアノ生誕300年」シリーズ全5回に続く「大作曲家とピアノ」シリーズも今回で第4回目。各位のご理解ご協力を賜りながら、会員の努力の積み重ねとその充実した内容が多くの音楽ファンの関心を集めて定着してきました。調律の日コンサートをさらに充実させるために昨年後半から準備を進め、1月にはチラシ、ポスターの印刷を仕上げ、札幌市内近郊の1〜4班班長さんを交えた拡大委員会を機に本格的な活動を開始しました。
前売り券は1,800円、1〜4班の会員約90名に各5枚のチケットを配布し、完売する人しない人様々ではありますが、なかには30枚40枚も売る積極的な会員もおり売券数は500を超え、お客さんと会員で客席はほぼ満員になりスタッフ一同ホッとひと安心。
この企画は前シリーズから9年間連続して、ウィーン芸術史博物館専属フォルテピアノ修復師としても活躍されている「フォルテピアノ・ヤマモトコレクション」主宰・山本宣夫氏製作の一連のレプリカまたは修復ピアノによる演奏会シリーズです。例年のように山本さんと助手の波多野さんがレンタカーに3台のピアノを積んで大阪府堺市を出発、舞鶴港からフェリーで約20時間の長旅で、前々日の夜苫小牧港に上陸し運んでいただきました。
当日の朝は8時半にスタッフが集合し皆慣れた手つきで手際よくピアノの搬入組み立てが終了。スタッフが見守る中で山本さんの調律調整が始まりました。
やがて今回のピアニスト小林道夫さんのリハーサルも同時進行。委員、班長さんや有志会員の手で会場の設営も進みいよいよ開演です。
使用した3台のピアノは、1726年製クリストーフォリと18世紀末製シュタイン、1800年頃製の珍しいスクェア型クレメンティで、山本さん本人のレクチャーと小林道夫さんの演奏。ピアニスト・小林道夫さんのフォルテピアノ演奏歴は何と40年、ご存じのように世界的にも高く評価されています。
冒頭は世界最初のピアノ、クリストーフォリで、パスクィーニ、ドメニコ・ジポリ、ジュスティーニの作品。2台目はシュタインで、セバスチャン・バッハ、エマヌエル・バッハ、ハイドンの作品。3台目はクレメンティで、ピアノ制作者で作曲家でもあったクレメンティの作品と、ベートーヴェンを、端正かつ表情豊かに、3台それぞれの個性が際立つ演奏で聴衆を魅了しました。
演奏の合間にレクチャー。山本さんが二人の出会いについて切り出すと、小林さんが「30年くらい前のあるコンサート会場で、間違えてお客さん用のトイレに入ったとき、たまたま隣り合わせた男性から、古い楽器についてどう思われますか?と質問されたのが山本さんとの初対面」と語られ大いに受けました。
その後のフォルテピアノと作曲家の関わりやエピソードなどややマニアックな話題にも、山本さんのフォルテピアノへの情熱とジョークも飛び出す関西弁の語り口に場内もリラックスムードが漂い、楽しく興味深い内容にお客様も大満足されたようで、回収した157通のアンケートからもその様子がうかがい知ることができました。
終了後は山本さんの粋な計らいで、お客さんが自由にステージに上がって3台のフォルテピアノを眺めたり、直に触れたり出来るのが毎回恒例になっており、我れ先にとステージ上は大賑わい。隣接するホテルでの打ち上げ反省会は、今年も美酒に浸り二次会へ・・・・・。
2009年6月
報告・北海道支部事業担当 沼山良明