本部統一企画「ピアノの魅力2017」レクチャーコンサート を開催します。
今と昔 ~現代のピアノ『カワイSK-EX』と古典ピアノ『エラール』の聴き比べ~
きっと ショパンもリストも 聴きたかった!
ピアニスト 海老 彰子
日 時 2017年10月3日(火) 19:00開演(18:30開場)
場 所 千種文化小劇場
チケット 前売り 3500円 当日 4000円
<当日使用予定ピアノの仕様>
Erard
製造番号
No 18307
製造年 1845 年(ロンドン)
音 域 7oct A2~a4
85鍵
ハンマー オリジナル
鍵 盤 象牙
低音弦 銀巻線(洋伯)
中高音弦 アイアン弦
奥 行 221cm
間 口 138cm
特 徴 イギリス式アクション
(ダブルエスケープメント)
平行弦
ダンパー(止音)
弦下よりスプリング
「平行弦ピアノ」シンポジウム&ピアノ聴き比べを開催します。
と き
2017年8月7日(月) 開演14:00 開場13:30
ところ
名古屋音楽学校ホール
入場料 1,000円(中部支部会員は無料)
定 員 150名(先着順)
<ご案内>
およそ300年前に誕生したピアノは、その歴史の中で数々の改良がなされてきました。ピアノの音はより早く、より大きく、より多彩に、作曲家や演奏家さらにはおそらく興行主らに至るまで、彼らの様々な欲求にピアノ制作者は答えてきました。19世紀中頃に考案された交差弦もその一つでした。つまり、より大きな音、より豊かな響きを求めて、響板の限られたスペースに無駄なく弦を張ることにより、それを実現しようとしたのです。そして現在において制作されるピアノは100%交差弦になっています。
かたや、多様化した現代のクラシック音楽界は、当時のピリオド楽器を使用した演奏会や、とりわけピアノの世界においては、古典派ロマン派時代のいわゆるフォルテピアノを使用した演奏会やさらにはCD発売まで含めて、それも頻繁にされるようになってきました。
それらの事象は何を意味するのでしょうか。それはやはり当時のピアノで当時の作品を演奏することで、当時の作品本来の魅力を再発見したいという欲求によるものではないでしょうか。その中での、ピアノの構造の重要なファクターのひとつに、この平行弦と交差弦の差があります。
ピアニスト・指揮者のダニエル・バレンボイム氏が、2015年にデンマークのピアノ制作家クリス・メーン氏に依頼し、スタインウェイD型を基礎に、平行弦の現代ピアノを制作発表しました。さらには同年10月にそのピアノを使用したCD「DANIEL
BARENBOIM ON MY NEW PIANO」を発表しています。彼はそのCDのライナーノーツの冒頭に、「“I’ve fallen in love with
It.”」と語っています。
今またピアノ演奏家から、ピアノの構造にひとつの欲求が突きつけられたわけです。我々ピアノ製造者側の者はそれに答える義務があります。そのようにしてピアノは発達してきたわけですし、ピアノの構造に対する彼のひとつの提案も、ピアノがより良くなっていくための大事なきっかけになるのかもしれないのです。
そのことを確かめることができないかと、今回中部支部主催で「平行弦ピアノシンポジウム」を開催することにしました。もしかしたらこの現代の平行弦ピアノが、ピアノの歴史にひとつの新しい流れを作っていくのかもしれません。
古いフォルテピアノを演奏した現代の演奏家のさまざまな話を聞いてみると、そのピアノから受けるインスピレーションは決して現代のピアノでは得られないものがあることを異口同音に語るのを何度も耳にしました。平行弦の構造にはピアノの響きの根本的な大事なことがあるように思います。そのあたりもこのシンポジウムで明らかにされていけばと期待しております。
ちょっと大げさなようですが、ピアノの歴史が変わっていくかもしれないこの瞬間に、ぜひ皆さんも立ち会ってみませんか。シンポジウムは8月7日(月曜日)午後、場所は名古屋音楽学校(名古屋市中区新栄町2-9)構内ホールです。ぜひお越しください。おもしろいことが始まろうとしています。
(町田
直紀 事業部長)