「フレンジの理想のトルク 修理と考え方」
*あなたはその時の湿度を計算に入れますか?
講師 梅田 義 氏 (本部 常務理事)
○函館会場
日時 平成24年10月13日(土) 13:00~16:30
会場 ヤマハ五稜郭ショップ アベニュー五稜郭5階
参加者 11名
○札幌会場
日時 平成24年10月14日(日) 13:00~16:30
会場 ヤマハ琴似ショップ アベニュー琴似2階
参加者 27名
平成24年度 北海道支部研修会は、本部研修局より
常務理事 梅田 義氏をお迎えして
函館・札幌の2会場で実施いたしました。
「バットフレンジのスティックをなおす時に、バットプレートのネジを緩めた事がある人、手を挙げて!」
という梅田氏の一言から始まった講義は、打鍵から発音まですべて円運動の重なり合いで
出来ているピアノアクションにとって、フレンジブッシングクロスおよび木部とセンターピンの
嵌合(かんごう)が如何に重要であるかを、あらためて考える事のできる機会となりました。
会員それぞれが、グランドピアノのハンマーアッセンブリーを手に、
まずはセンターピン交換の実技を開始。冬季の乾燥により、フレンジガタの発生が多い
ピアノとお付き合いをする北海道の調律師、この作業は皆さんスムーズに運びました。
そこでトルクの確認です。うまくいった様でも、シャンクと水平にしたフレンジに
1円玉を3枚乗せるととたんにバラバラと落ちてしまう、
4枚乗ってもビクともしないなど様々・・・梅田氏のチェックも厳しく入ります。
その後、ブッシングクロスの交換では、接着に木工用ボンドと瞬間接着剤を使用した実験を行い、
特に、瞬間接着剤では木部に付けるかブッシングクロスに付けるか、液状のものと粘性のあるもの、
あらかじめ用意された接着剤以外に会員の持参した物でも試しました。
「速くて、案外使っても良いのではないか」と思いながら、数分経つと以外な結果になる声が
それぞれのテーブルから挙がります。この他、木部のピントルクやブッシングクロスの毛の向きと
センターピンの挿し方、ピントルクの違いによる鍵盤のタッチ感など梅田氏の講義に惹きつけられ、
あっという間の3時間でした。
函館・札幌ともに、梅田氏が研修でもっとも大切であると主張される、
マニュアルにある理論・物理的な事を踏まえた上で、実際に目の前にある事柄に向き合い、
考えて答えを導き出すという事を会場全体で体感出来ました。
毎日仕事が常に本番である技術者にとって、同じ作業を繰返し研究する機会は大変貴重であり、
また、工夫を加えた工具や道具を持ち寄り、お互いに情報交換できるのも実技研修の楽しみです。
まるで技術学校の教室の様になった空間に、梅田氏のお声がテーブルからテーブルへ
ベテラン会員も若手会員もちょっと懐かしく、実は真剣に「生徒」にさせていただいた一時でした。
はるばる北海道にお越しいただき、函館―札幌と2日間の研修に加えて、
懇親会でも熱く語っていただいた梅田 義さんに、心より感謝申し上げます。
報告 広報 坂井