日 時:2019年10月7日(月)
場 所:サクラート多度津(多度津町民会館)
内 容:アンドロイドは調律師を電脳化するか?Ⅰユニゾン
講 師:鶴田 圭寿(関東支部)
参加者:四国支部21名 非会員2名
関東支部7班の鶴田圭寿さんをお招きして音響解析ソフトを用いた研修会を開催いたしました。実験と実習を交え、とても分かりやすく楽しい研修会となりました。ちなみに表題の「アンドロイドは調律師を電脳化するか?」はSF小説の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」からオマージュしたものとのことです。
ホールにあるピアノ(カワイEX)を使い皆さんにユニゾンを合わせてもらいました。そしてきれいなユニゾンベスト3を測定しました。しかし測定した数値はその順位とは異なりました。1本うなりや、場所によって条件は異なりますが人が良く感じる音でも数値はそうでない時があることがわかりました。
音波の話もして頂きました。2つのスピーカーを使い実験をしました。片方から220Hzの音を出し、もう片方からも同じように220Hzの音を出す。もちろん音量が上がります。
次は片方だけ220Hzの逆位相(音の振幅が逆)の音をだすと音量が下がりました。
次はスピーカーの距離(人とスピーカーの距離)を変える実験です。通常のスピーカーと逆位相のスピーカーの距離を変えてみます。距離により音量が大きくなったり小さくなったりしました。音は1秒間に約340m進みます。220Hzの場合340m進むまでに220回の振幅があると言うことになります。1回の振幅に約1.54m進むことになります。その半分の0.77mの所では振幅が重なり音量が大きくなったのです。この実験で感じたことはハンマーの同時打弦はしっかりやらないと、音量が下がってしまう可能性があると感じました。
高知県の高木治夫会員の調律について話をして頂きました。鶴田さんの講師で2年前、岡山県倉敷市児島で行われた関西支部の研修会に高木会員が参加しました。その時に高木会員の調律作業を動画で撮影していた鶴田さんが気付いたお話です。
高木会員は、
①合わせる時間が早い
②作業前に和音を弾いている
③ユニゾンが非常にきれいで誤差0。
高木会員は合わせるとき固い音を聞いていると言っていました。これは高い倍音を聞いていると言うことがわかりました。
①の合わせる時間が早いと言うことはユニゾンの山が早く来る高い倍音で合わせている。
②の和音を聞いている理由は、合わせる音の高い倍音を聞きやすいように共通倍音のうなりが出ている和音を聞いている。
③高次倍音を合わせているので、それ以下の倍音はピッタリ合っている。
ピアノの大きさや音の高さにもよりますが、具体的に話すとキーNo30・Dを合わせます。高木会員はその第6倍音の61A を聞いて合わせています。和音は33Fと37Aを聞きます。その共通倍音は61Aです。33Fと37Aの長3度のうなりを聞き61Aの倍音を聞きやすくしていたのです。
高木会員もすごいですが、これに気付いた鶴田さんもすごい!
他にもC型ハンマーやサイバーハンマーのお話し、狂いにくい調律のやり方などをお話ししていただきました。
文章ではわかりにくいかもしれませんが、研修では実験や音響解析ソフトを用いながら進みましたので非常にわかりやすく楽しい研修会でした。
講師の鶴田さんはじめ会場のサクラート多度津の方々、会員スタッフの方々あらためてお礼申し上げます。ありがとうございました。
(研修委員 伊藤雅俊)